「オルソケラトロジー」とは、近視・近視性乱視の方のための、手術のいらない視力矯正治療法です。
日本ではレーシックほど知られていませんが、アメリカやヨーロッパ、アジア諸国を中心に、世界各国で安全性・有効性が認められ、治療が行われています。
日本国内でも、2009年以降4製品が厚生労働省の承認を受け、徐々に広まってきました。
オルソケラトロジーは、未成年者を中心に処方されています。
オルソケラトロジーでは「オルソケラトロジーレンズ」という特殊な形状が施された、高酸素透過性の専用ハードコンタクトレンズを夜寝る前につけて、朝起きたらはずします。
就寝中にレンズが角膜の形を変化させ、裸眼視力を矯正するのが特徴です。それにより翌朝レンズをはずした後も、角膜の形状が矯正された状態を一定時間維持できるため、裸眼で過ごせるようになります。
こちらの2分間の動画をご覧いただくとわかりやすいかと思います♪オルソケラトロジーの視力矯正の仕組みや、子供の頃から使用している方々の感想などをご紹介していますのでぜひご覧ください。
近視とは、外から入ってきた光が、眼の中の網膜より手前で焦点(ピント)が合っている状態です。
近視の矯正には、目に入ってきた光が網膜上でピントが合うように、光の屈折率を変える必要があります。
オルソケラトロジーは、夜寝る前にオルソケラトロジーレンズをつけて、寝ている間に角膜の形状を平らに矯正し、光の屈折率を変化させることでピントが合うようになります。
オルソケラトロジーに使用するレンズは、手術をすることなく角膜の形状を変化させて近視を矯正する医療機器です。
レンズは複数のカーブからなる特殊なデザインとなっており、それによって角膜の形状を矯正することができます。
そのため翌朝レンズを外した後も一定時間効果が持続し(角膜が矯正された状態を保つことができ)、日中裸眼で生活できるようになるのです。
コンタクトレンズやメガネは日中、活動している時間帯に装用しなければなりません。それに対し、オルソケラトロジーは、日中活動する時間帯に裸眼で快適に過ごせるよう、夜寝ている間につけて視力を矯正します。
レーシックは一度手術を受けると角膜の形状をもとに戻すことができません。一方、オルソケラトロジーは、万が一治療が合わなかった場合でも、レンズの装用をやめれば角膜の形状はもとに戻るため、別の治療に切り替えることも可能です.
このように、オルソケラトロジーは日中の快適な「裸眼生活」が可能になる、手術のいらない視力矯正治療法といえます。
オルソケラトロジーという治療は夜間特殊なハードコンタクトをつけたまま寝て、朝起きたら視力が回復するという画期的な治療です。
眼鏡やコンタクトレンズが煩わしいけどレーシックなどの屈折矯正手術は怖いという方にはお勧めの治療です。
オルソケラトロジーにもメリットとデメリットがあります。
この治療がご自身の目の状態や生活習慣に適しているか検討する上で、ご参考にしてください。
■就寝時にレンズ装用することで、日中裸眼で過ごすことができます。
●日中のメガネ装用やコンタクトレンズ装用のわずらわしさから解放されます。職業上メガネの使用が難しい方や、「時間がたつとゴロゴロする」「夕方になると充血しがち」など、コンタクトレンズの不快感から解放されたい方へ。
●スポーツ(特に激しいスポーツ)をする方に向いています。
■近視の進行(学童期の軸性近視)を抑制する効果があることも報告されています。小児では裸眼で過ごせることに加えて、近視進行の抑制目的も踏まえて適応を検討します。
■手術ではありませんので、夜間のレンズを装用を中止しますと元の角膜の状態に戻せます。
■通常のコンタクトレンズと同様に毎日のレンズケアが必要です。
不衛生なレンズ管理では、角膜感染症などの合併症を起こすリスクがあります。日々のレンズ洗浄や保存ケースの衛生管理が重要となります。
■視力が安定(中止後に回復)するまで日数がかかる場合があります。
■夜間のまぶしさや光のにじみが気になるといった症状が出ることがあります。※個人差があります。
■治療効果には個人差があります。オルソケラトロジー治療で矯正可能な近視度数には限度があります。
乱視の程度によってはオルソケラトロジー治療の適応外となることもあります。
当院では、2012年に厚生労働省より製造販売承認を受けたオルソケラトロジーレンズ「ブレスオーコレクト®」を使用しています。
■設計開発から製造販売まで一貫して日本で行われている純国産レンズ。日本人に多い角膜形状に合うようデザインされた日本人向けのレンズです。
■東レ社製のしなやかで割れにくい、やわらか素材を使用しており、自然な装用感を体感できるレンズになっております。
■酸素透過性が高く、睡眠中も角膜へ十分な酸素が供給できます。
■ブレスオーコレクトの有効性は、臨床研究を実施し、認められています。
■臨床研究では、装用開始時の裸眼視力の平均は0.22でしたが、装用後12週間で1.45まで改善しました。
■裸眼で過ごせるようになるまでの目安は、個人差はありますが、中程度の近視であれば約1週間ほどで、日中裸眼で過ごせるようになります。
オルソケラトロジーの治療は、初診検査からテスト装用、処方、定期検査の流れになります。
【①ご予約】
オルソケラトロジーは予約制となっております。当院まで、お電話にてお問い合わせください。
【②治療の説明】
オルソケラトロジーを正しく理解していただくために、眼の構造や矯正方法などをご説明いたします。
【③適応検査】
一般的な眼科検査と角膜形状解析検査を行います。
【④診察】
眼科専門医による診察となります。オルソケラトロジーの適応を判断し、適応とされた場合は、レンズ規格を決定します。
【⑤テスト装用】
患者さまにトライアルレンズをテスト装用していただきます。フィッティングと効果の度合いによって、処方レンズを決定します。
【⑥処方】
処方レンズをお受け取りになり、レンズの取り扱い説明と装用練習を行います。問題なく行えるようになりましたら、処方は終了です。その日の夜から、治療開始となります。
【⑦定期検査】
治療開始後、定期検査を行います。角膜の状態を知り、また、合併症の早期発見のためにも非常に重要ですので、必ず受診してください。
オルソケラトロジーの治療は自費診療となり、健康保険は使用できません。
治療費には、本治療開始後半年間の検査・診察費用が含まれます。また、途中で合併症等が生じた場合、別途治療費や薬代が必要になることがあります。
費用詳細は受診時にご案内させていただきます。
10万円を超した費用は補助が得られます。
医療費控除の対象になりますので、詳しくは下記の国税局による回答ページをご覧下さい。
■オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療に係る費用の医療費控除について
オルソケラトロジーのレンズ取り扱いと安全面に関する不安や疑問にお答えします。
レンズの寿命は通常の高酸素透過性ハードコンタクトレンズと同じくらいで、2~3年程度で交換が必要になります。定期検診をきちんと受け、医師やスタッフにレンズの状態を確認してもらい適切に使用するようにしましょう。
オルソケラトロジーレンズの装用方法につきましては、眼科施設での指導がありますので、ご安心してご使用いただけます。取り扱いは一般的なハードコンタクトレンズとほぼ同じで、やり方さえ覚えれば、どなたさまでも簡単にお使いいただけます。
一般的なハードコンタクトレンズと同様に、日常のケアを行います。レンズを外したあとに洗浄してから保存します。ケアを行わないと汚れの蓄積等により合併症を引き起こす可能性がありますので、医師の指導のもと十分なケアを行ってください。
ケア用品は患者さまによって異なりますので、指定のものをご利用ください。詳しくは医師やスタッフにお問い合わせください。
使い方を守らなかったり、レンズケアを怠ると、通常のコンタクトレンズと同じトラブルが起こる可能性があります。トラブルを未然に防ぐためにも、レンズケアを徹底し、必ず定期検査を受けましょう。目に違和感がある場合は、装用を止めて、医師の指導を受けてください。
強く目をこすった場合、まれにレンズがずれることがあります。レンズがずれたまま長時間を経過すると、翌日の見え方に影響する可能性がありますので、目をこすらないように気を付けてください。
オルソケラトロジーは近視矯正治療であり、遠視を矯正することはできません。乱視は近視に置き換えて矯正することができますから、さほど強くない乱視を矯正することは可能です。