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網膜とは

網膜とは、目の中に入ってきた光を刺激として受け取り、脳への視神経に伝達する組織で、カメラでいうとフィルムのはたらきをしています。

網膜には多くの血管があり、糖尿病や高血圧、内服薬の副作用など、全身の影響を受けやすい場所です。

また、網膜剥離という急激で重篤な病気もこの網膜に発生します。網膜は、一度障害されると、治療をしても見えにくさが永久的に残るので、早期発見、早期治療が重要となってきます。では、代表的な疾患を紹介していきます。

1.糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは

日本人の糖尿病患者さんのうち糖尿病網膜症にかかっている割合は、約15%とされ、約140万人が糖尿病網膜症にかかっていると推定されています。

糖尿病網膜症は、眼の網膜全体の血管が、糖尿病による高血糖に長期間さらされることで、血管が壊れて、出血し、最終的に失明する可能性のある病気です。

糖尿病になって、数年~10年程経過して発症すると言われていますが、その症状が自覚されないうちに進行し、自覚症状が現れたときには、すでに失明の危機に瀕した状態であることがほとんどです。ですので、まだ見えてるから大丈夫という自己判断はとても危険です。糖尿病の方は目の症状がなくても定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けましょう。

糖尿病網膜症の症状・進行

糖尿病網膜症は網膜の血管が徐々に壊れていくことに伴って以下の3段階を経て進行します。

注目すべきは、末期の増殖糖尿病網膜症になるまで、自覚症状が出ない事です。自分では病気が進行し、失明の方向に向かっていることに気づかないのです。必ず、定期診察を受けましょう!

また、網膜症の初期の段階でも、黄斑浮腫という網膜の中心(黄斑)に水が溜まる病態があります。これを合併した場合は早期から視力障害を来しますので、積極的な治療が必要になります。

糖尿病網膜症の治療

下記の4つの治療法を組み合わせて、治療を行っていきます。

病状の重症度、黄斑浮腫の有無によって、どの治療を選択するかを判断し、患者さんと一緒に考えていきます。

糖尿病網膜症は、一度かかると、治ることはなく、この先ずっと眼科での定期診察、治療が必要です。根気強く、一緒に頑張りましょう。

2.網膜静脈閉塞症

網膜静脈閉塞症とは

網膜静脈閉塞症は、網膜の血管(静脈)が目詰まりを起こし(閉塞)、網膜がむくんだり出血したりして、ものが見えにくくなる病気です。

この病気は、高血圧や腎臓病があると発症する危険が高いことが分かっています。

加齢とともに発症しやすくなり、日本人では40歳以上の約50人に1人(2.1%)に発症すると言われています。


網膜静脈閉塞症の種類

網膜静脈閉塞症には、2種類あります。違いは、どの部分で静脈が閉塞するかにあり、ひとつは「網膜内の枝分かれした細い静脈が詰まる」タイプ、もうひとつは「視神経内の根元の太い静脈が詰まる」タイプです。


網膜内の静脈が閉塞するもの→ 網膜静脈分枝閉塞症

視神経内で静脈が閉塞するもの→ 網膜中心静脈閉塞症

網膜静脈閉塞症の症状

眼底出血や網膜浮腫が黄斑におよぶと(黄斑浮腫)、視力低下を起こしたり、ものがゆがんで見えたりします。 静脈の閉塞した場所によって、自覚症状は無症状から重い視力障害まで様々です。

網膜静脈閉塞症の治療

目の奥に光りをあてて、網膜・黄斑を直接観察します。黄斑の出血や滲出の状態が分かります。

3.網膜剥離・網膜裂孔

網膜剥離とは

網膜剥離とは、眼球の内側にある網膜に孔があき(網膜裂孔)、網膜が剥がれて、見える範囲(視野)が欠けてくる病気です。網膜の中心部である黄斑部分まで剥がれた場合、急激に視力が低下します。 治療が遅れると失明する重篤な病気です。

発生頻度は一万人に一人と言われています。

網膜剥離の症状

網膜剥離の前駆症状として飛蚊症(小さなゴミのようなものが見える症状)や光視症(視界の中に閃光のようなものが見える症状)を自覚することが多いです。無症状のこともあります。

病状が進んでくると視野欠損(カーテンをかぶせられたように見えにくくなる症状)や視力低下が起きます。網膜には痛覚がないので、痛みはありません。

網膜剥離の検査

瞳孔を大きくする目薬を点眼し、網膜が剥離しているかどうかを調べる眼底検査を行います。

他にも超音波検査などを必要に応じて行います。

網膜剥離の治療