麦粒腫

目のふちに、小さなふくらみができ、うっとうしく感じたことはないですか?
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は俗に「ものもらい」や地域によっては「めぼ」「めいぼ」などと呼ばれるものです。
まぶたの皮膚は薄いため、色々な病気で腫れや外見の異常が起こります。

■麦粒腫とは

まぶた(眼瞼)の一部に化膿が起きる病気で、「ものもらい」「めばちこ」など、全国でたくさんの俗称で呼ばれているものです。
麦粒腫は、主にまつ毛の根もと(脂腺・汗腺)に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して起こることが多いです。
特に夏期など、疲労によって抵抗力が弱まったり、全身状態が低下している場合に感染しやすくなります。


◆まぶたについて

まぶたは、うわまぶた(上眼瞼)と、したまぶた(下眼瞼)に分かれています。まぶたには2~3列のまつげが生え、そこには脂肪を分泌する脂腺と、汗を分泌する汗腺があります。
また、脂腺の一種にはマイボーム腺と呼ばれるものが瞼板の中にあり、その分泌物は涙と混じって眼球の表面に広がり、涙の膜をつくって目が乾くのを防いでいます。
ちなみにまつげは、うわまぶたに100~150本、したまぶたにはその半数ほどが並んでいます。

■症状

初めはまぶたが赤く腫れて痛がゆく感じます。また、まばたきをすると痛い・充血する・ゴロゴロする・まぶたが赤く腫れるといった症状も出てくることがあります。
炎症が強くなってくると、瞼の腫れ・痛みが強くなります。時には耳の近くのリンパ節も腫れてくることもあります。
化膿が進むと、腫れた部分が自然に破れて膿が出てくることがあります。膿が出てしまえば痛みは急減し、まぶたの赤い腫れは徐々に消えて、しだいに治ります。

■治療法

ひどくならずに自然に治ってしまうことも多いのですが、治療としては、一般的に抗生物質の点眼や、眼軟膏が処方されます。場合によっては抗生物質や消炎剤などの飲み薬を服用することもあります。
抗生物質の点眼や眼軟膏を使うことで、これ以上の化膿を防止することが出来ますが、ある程度進んでしまった時には、眼科で小さく切開し、膿を出してもらうと早く治ります。

※注意

○日頃から手指を清潔にし、汚れた手指で目をこすったりしないようにしましょう。
○疲労をさけ、睡眠を十分にとり、体力をおとさないようにしましょう。
○症状が出ても、まぶたをこすったり、目に刺激を加えないように注意しましょう。
○炎症がまわりに広がる恐れがあるので、自分で処置するのはやめましょう。

■予防法は

ものもらいの予防対策としては、第一に目の周りを清潔に保つことが大切です。まぶたの周りが不衛生であることと、まぶたをこすることが大きな要因です。
また、汗などでまぶたの汚れが目に入りやすいとき、抵抗力が弱まっているときなどにもものもらいは出来やすくなります。体調管理もものもらいの予防には必要なことです。

◆まぶたの周りの清潔保持

まつげの根元は、もともと雑菌がたまりやすい場所です。汚れた手指やタオルなどで目をこすらないようにし、手や爪を清潔に保ちましょう。
また、前髪が目にかからないようにすることも大切です。

◆アイメイク・メイク落とし

お化粧が入り込むと、目はなおさら不衛生になります。できるだけ濃いアイラインはさけましょう。また、メイクを落とす時は、まつげの根元に蒸しタオルをあて、アイラインやマスカラなどをきれいにふき取るようにしましょう。

◆食べ物・アルコール

刺激の強い辛い食べ物や、炎症を起こしやすい食べ物は、ものもらいを起こしやすくする傾向があります。また、アルコールには炎症を悪化させる作用があります。少なくともものもらいなどの症状がある際には、これらのことを控えるようにしましょう。

◆コンタクトレンズの管理

コンタクトレンズはきちんと清潔に管理し、雑菌がつかないようにしましょう。コンタクトレンズを不潔な手指で取り扱わないようにすることも大切です。使用しているコンタクトレンズの正しいケアを、毎日しっかりと行いましょう。

■霰粒腫

もうひとつは霰粒腫(さんりゅうしゅ)と呼ばれるものもらいです。
霰粒腫は、脂の成分を出すマイボーム腺がつまって、その周囲に慢性の炎症がおき、分泌物がたまったものです。
触るとコリコリしますが、痛みは通常ありません。しかし細菌に感染するとまぶたが赤く腫れ、痛みを伴うことがあります。炎症を伴った場合は麦粒腫と似た症状が出ることがあり、区別が付きにくくなることもあります。
霰粒腫は麦粒腫おは異なり、そのまま放っておくと同じ状態のまま何ヶ月も続くことがあります。

霰粒腫ができてしまったら毎日数回、温湿布を行って治療します。温湿布で治癒が早まり、治療しなくても1ヶ月ほどで消失することがよくあります。しこりが大きくなった場合には、局部麻酔をかけて手術で切開することもあります。
ものもらいができてしまったら、自己判断せずに眼科を受診するようにしましょう。